金沢

1 嗜季

浅野川沿いの主計町(かずえまち)には、日本家屋の料亭や茶屋が並んでいます。川を眺めながらお茶や料理をいただけるこのお店、昼は茶房、夜は酒房として営業。お茶屋を再利用していて、その趣味の良さに惹かれてしまいます。そして何より、女将のきっぷのよさがピカイチ。電話で予約をしていくのをオススメします。

金沢市主計町2-10
☎076-282-9840

2 ビストロ とどろき亭

主計町から橋を渡ったら、右手に東山茶屋街があります。その入り口にあるビストロ。友人に「ハンバーグがおいしいよ」と教えてもらって行きました。能登牛、能登豚のあいびきを使ったハンバーグは、お肉にしっかりと味がついているタイプ。外がかりっ、中はふわっ。ビール片手にペロリといただきました。

金沢市東山1-2-1
☎076-252-5755

3 高木糀商店

東山茶屋街にある、お味噌屋さん。この街を歩いていて、いいなと思ったことのひとつが、昔から続く様々な「専門店」が地元の人の生活にも、そして観光客にも開かれ愛されていること。麹蔵でもあるお店の中で仕込んだ味噌、麹、塩麹、甘酒などが売られています。甘酒は、ヨーグルトっぽい味わいもあって、感激の味。

金沢市東山1-9-3
☎076-252-7461

4 茶房 一笑

以前、友人から「水出しで作って飲んでみて」とお土産にもらってヤミツキになったのが、〈丸八製茶場〉の「献上加賀棒茶」。ほうじ茶の茎の部分を使った、香りがとてもいい、まろやかなお茶です。俳人の小杉一笑からつけられたこのお店では、お茶の販売とともに、茶房とギャラリーが併設されています。

金沢市東山1-26-13
☎076-251-0108

5 東出珈琲店

近江町市場を出てすぐにある自家焙煎のコーヒー屋さん。朝8時から営業していて、近所のお父さんたちで溢れています。コーヒーは浅煎りから深煎りまで、さまざまな豆のものがありますが、僕は東出ブレンドを注文。店主の優しさがあらわれているような味でした。デザートのプリンも美味しくオススメです。

金沢市十間町42
☎076-232-3399

6 みろく温泉元湯

銭湯温泉。地元のみなさんはそれぞれ自分の好きな銭湯があるようです。ここは、金沢で知り合った情熱的な若き陶芸家に紹介してもらいました。お湯は、ナトリウム、塩化物温泉でコーヒー色。入るとヌルヌルそして上がるとお肌スベスベです。にしても、近くに温泉銭湯があるのはとても贅沢だと常々思います。

金沢市横山町2-24
☎076-221-8096

7 CAFE DUMBO

水路が並走するせせらぎ通り沿いにあるカフェ。ニューヨークのことが大好きだという夫婦が営んでいます。2階は、ソファ席になっていて、ゆっくりと過ごすことができます。伺ったときは、金沢の街を歩いて喉がカラカラだったので、メイド・イン・ブルックリンのジンジャーエールをいただきました。リフレッシュ!

金沢市香林坊2-11-6
☎076-255-6966

8 欧風食堂 ル・マルス

和食のイメージが強い金沢ですが、洋食も引けを取りません。このお店は、フランスやベルギーの美味しさがつまったビストロ。シュークルートの肉はがっつりとしていて、豚足と豚耳とタンのテリーヌはパリの総菜屋で買ってつまむそれを彷彿とさせます。冬になったら、トリップなどの煮込みもイケるんだろうな~と再訪を願いました。

金沢市香林坊2-12-34
☎076-262-5343

9 SLANT

独自のキュレーションで毎回、写真やイラストレーション、デザインの展示などをしているギャラリーです。地元の友人いわく、こういったアートを楽しめるインディペンデントな場が金沢にはあまりないそうです。訪れた日は、美大生と思わしき若き青年がギャラリーの方とコンテンポラリー・アートについて語り合っていました。

金沢市広坂1-2-32-2F
☎076-225-7746

10 うまいぞいや哲

東京で言うならば、新宿ゴールデン街のような小さな店がひしめき合う場所にある、カウンターだけの小さな料理屋。店内は、マスターの哲さんが蒐集しているDVDやアニメのフィギアなどが所狭しと置いてあるのですが、何より料理が抜群。ハムカツの付け合わせのポテトサラダは、絶妙な味加減。他に、お刺身、お肉、どれもが心に沁みました。

金沢市片町2-13-8 中央味食街

11 赤城

こちらも、カウンターだけの居酒屋。小さいけれど、料理にパワーが感じられます。川魚や山菜は主人自身がとってきたものだそうです。訪れた日は、金目鯛の煮付け、生のミョウガと田舎味噌、ヤマメのてんぷらなどをいただきました。イモ焼酎の水割りは、前日に焼酎と割っていて、まろやかな味。ついつい、ぐいぐいと飲んでしまうのです。

金沢市片町2-3-27
☎076-263-7897

12 広坂ハイボール

誰が言ったか知らないが「良き地元のバーに行けば、その街のことがよくわかる」という言葉を信じています。このバーは、名前にもなっているように、ハイボールが人気。マスターがその場で調理するおつまみも美味しくて、さばのへしこを使った自家製ピザ、ふわっふわのオムレツなど、ニッコリとさせてくれるものばかりでした。

金沢市柿木畠4-9-2F
☎076-265-7474

13 タイノマチゴハン リトルスパイス

誰が言ったが知らないが「街には必ずウマいタイ料理屋がある。旅をするなら、そこにも足を向けろ」と…。店内の様子は、屋台風でにぎやか。夜、数件ハシゴをした後のシメとして、タイラーメンをいただきました。透明なサッパリとした汁に、細いライスヌードル。パクチーたっぷりなのも嬉しい!

金沢市柿木畠2-11
☎076-232-0141

14 8番らーめん 犀川大橋店

金沢で出会った人たちにこの店のことを聞くと、決まって誰もが思い出話を語り出す、市内外に広がるチェーン店のラーメン屋さん。1967年の創業以来の定番は、「野菜らーめん」。優しい味のスープ、たっぷりの炒め野菜に太麺。味は、味噌・塩・醤油・とんこつを選ぶことができます。

金沢市片町2-21-12-1F
☎076-232-1238

15 おでん居酒屋 三幸

17時のオープンとともに、暖簾をくぐりました。まずは、カウンターの上に並んだお惣菜から「いわしと青ネギのヌタ」と「金時草のおひたし」を。その後、おでんを。どれもこれも“地の味”がして満足&満腹。マダムの人柄と笑顔が素敵で、カウンターでのひとり呑みを存分に楽しみました。

金沢市片町1-10-3
☎076-222-6117

16 甘納豆かわむら

繁華街から犀川を渡った「にし茶屋街」にある甘納豆屋さんです。いろいろな種類の豆のみならず、季節のものも砂糖菓子にしています。砂糖はさっぱり、豆のコクはたっぷりで、美味しい。変わり種として買ったのが、季節ものの「いよかん」。柑橘系の甘み、酸味、苦みがじゅわーっと口に広がる逸品でした。

金沢市野町2-24-7
☎076-282-7000

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ユナイテッドアローズ
グリーンレーベル リラクシング
金沢フォーラス店

〒920-0849 石川県金沢市堀川新町3-1
金沢フォーラス1F

☎076-231-8621

営業時間/10:00~21:00

http://store.united-arrows.co.jp/shop/glr/

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COLUMN

宇宙、金沢、吉田健一

岡本 仁

「その遠く下に犀川が流れるのを見ていると少くともこの町にいる人間が時間がたたせるのではなくたつものであることを知っていてその時間が二つの川とともに前からこの町に流れているという気がした」 金沢という地名を聞いて最初に連想 […]

「その遠く下に犀川が流れるのを見ていると少くともこの町にいる人間が時間がたたせるのではなくたつものであることを知っていてその時間が二つの川とともに前からこの町に流れているという気がした」

金沢という地名を聞いて最初に連想するのは吉田健一だ。冒頭に引いたのは彼の『金沢』という小説の一部で、最初にこの本を読んだとき、吉田健一好きと称していたにもかかわらず、まったく意味がわからず途中で投げ出してしまった。難解だから読了を諦めたというのとは違う。泥酔した男が話し出し、その辻褄の合わなさといつ終わるかわからないしつこさに辟易しつつも引きずり込まれるうちに、気がついたら朝になっていて、これがずっと続くのなら身体がもたないからと思って無理矢理おいとまして家に帰ったという感じだった。

ぼくはこれまでに一度しか金沢に行ったことがない。友人が薦めてくれた〈宇宙軒食堂〉という店でとんバラ定食を頼み、そのタレの味に驚愕した。高級な料亭だったら当り前と思っただけかもしれないが、630円の定食でこの味というところに底知れぬ何かがある気がした。いまなら理解できるかもしれないと、東京に戻ってから『金沢』に再挑戦をしてみた。でもまた途中で放り出しってしまったのだ。きっとこれからも金沢へ行って戻ってくるたびに同じことをするだろう。

宇宙軒食堂 石川県金沢市片町1-5-29-1F 076-561-8700

ピザ、オムレツ、ハイボール

島本 塁

金沢に住む友人夫婦に「バーはどこに行ったらいいか」と聞いて真っ先に教えてくれたのが〈広坂ハイボール〉というお店だ。普段ぼくは、あまりバーへ行かないのだが、旅先では別である。ドアを開けると、少し明るい雰囲気。カウンターに座 […]

金沢に住む友人夫婦に「バーはどこに行ったらいいか」と聞いて真っ先に教えてくれたのが〈広坂ハイボール〉というお店だ。普段ぼくは、あまりバーへ行かないのだが、旅先では別である。ドアを開けると、少し明るい雰囲気。カウンターに座って、何を頼もうかと悩んでいるとき、『元氣通信』という名の手書きの冊子に目がいった。

「広坂ビアホール…!? こんにちは! 宮川元氣です。酒好きのぼくにとって一番身近なお酒でありながら、バーテンダーの僕にとっては、ある意味一番軽くみていたお酒、それがビールでした。それが5年前、美味しい地ビールに出会い感動してしまいました!」

2012年5月発行のvol.68号の書き出しは、こんな感じ。活字で、しかも一部抜粋だと味わいは半減してしまうのだが、マスターの手書き文字と添えられるイラストによって編まれたその通信は、素晴らしいものだった。いたく気に入ったことを伝えると、2008年に発行された総集編である『元氣通信 SPECIAL』を差し出してくれた。

旅を終え、ぼくは日常が待つ自分の寝床へと帰る。通信を読み返しながら、マスターの作ったピザとオムレツ、ハイボールの味を思い浮かべる。「また金沢へ行きたいな」と思う。こういった復習が、ぼくをウズウズとさせる。次なる旅へと一層誘うのである。

※記載の内容は2012年9月の発行時点での情報です。
※予告なく移転や営業内容等の変更があり得ることをご了承下さい。

※記載の内容は2012年9月の発行時点での情報です。
※予告なく移転や営業内容等の変更があり得ることをご了承下さい。